| 2週間前に始めた、こちら週末版のニュース5選。ニュースレターとしても配信しているのですが、X(旧ツイッター)でこんなフィードバックを見かけました。 「なんか力入った文章で休日がちょっと仕事モードになってまう」 筆者も気になっていたところ。グサッと指摘された気がします。 文調や語尾などをそろえることを私たちの業界内では「トンマナ(トーン&マナー)を合わせる」と言いますが、回を重ねるごとに読みやすく、信頼感も高まるように工夫したいです。 今回のレターでは、ブルームバーグ東京ニュースルームの様子もお伝えします。 バレンタインデーの週末、「知的好奇心を満たすための読書」としてお楽しみいただければ幸いです。1週間の焦点を押さえて、先を見通すニュース5本はこちら。 衆院選での自民党圧勝。ブルームバーグのニュースサイトでは、投開票日と翌朝の市場、高市早苗首相の夕刻会見と、3回にわたってライブブログ形式で速報しました。 市場では事前に「株安・円安・金利高」が再来すると予想されていましたが、ふたを開けてみれば、動いたのは「史上最高値を更新した株価」だけでした。 財政悪化のシナリオは、高市首相による「赤字国債は発行しない」という火消しによって後退しました。ドル・円は1年超ぶりの大幅高を記録し、債券市場にも、やや平穏が戻っています。 東京ニュースルームでは今週、実態にそぐわなくなった高市トレードという言葉をいったん封印。市場の変節をどう捉え、定義し直すべきか。問いかけは来週も続きます。 ブルームバーグは世界120都市で、約2700人のジャーナリストが働いています。毎朝、海外支局との編集会議を開いているのですが、タカイチは間違いなくホットなキーワードの一つです。 戦後最大の信任を得た首相と今後の動きをどう読み解けばよいのか。そんなときに、ぜひ読んでいただきたいのが、ブルームバーグ・オピニオンのコラムです。 日本語版サイトでは、世界のベテランコラムニストによる分析を1日1本のペースで翻訳・編集してお届けしています。今回は人気コラムニスト3人と、高市圧勝を読み解く最新コラムを紹介します。 市場担当のジョン・オーサーズは、ブルームバーグ移籍前、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のチーフ市場コメンテーターを務めていました。高市人気に「サッチャー元首相ですらこれほどの民意は得なかった」と驚き、株高の陰で進む通貨と債券のゆがみを鋭く指摘します。 高市首相(1月23日) (Photo by JIJI Press / AFP via Getty Images) / Japan OUT カリシュマ・ヴァスワニは、中国を中心にアジア政治を担当。以前は英BBC放送のアジア担当リードプレゼンテーターとして、20年ほど最前線を取材してきました。中国を除いたアジア諸国が「強い日本」を地域の安定材として歓迎している現実を解き明かします。 ガロウド・リーディーは、東京在住の日英バイリンガル。硬軟織り交ぜたテーマで世界から見た日本をいつも書いています。以前は北アジアのブレーキングニュースチームを率い、東京支局の副支局長を務めていました。 今週、極右やファシストといった海外メディアによる安易なレッテル貼りを「的外れだ」と一蹴し、高市氏の現実的な実像を見極めるよう促しています。 先の見えない時代。コラムニストたちの知見と鋭いペン先は、一人ひとりがニュースや将来を見渡すための「羅針盤」となってくれるはずです。 決算発表が終盤の今週、ニュースルームでは発表が相次ぐ12日午後3時半、速報アラームが鳴り響く、緊迫した時間が続いていました。 中でも主役となったのは、半導体メーカーのキオクシアホールディングスでした。 キオクシアの四日市工場(2024年11月) Photographer: Fred Mery/Bloomberg 先週の決算で、任天堂の家庭用ゲーム機「スイッチ2」について先行きが懸念されたのは、AIブームに伴うメモリー価格の高騰というコスト増要因でした。 一方の供給側であるキオクシアHDは、会見で「あらゆる顧客向けで単価の上昇が予想される」と説明しました。今期(2026年3月期)の営業利益は市場予想(5255億円)を大幅に上る見通しで、株価も上場来高値を更新しました。 速報記事は、ブルームバーグの端末上でも注目を集めました。市場の不安が、期待へと書き換わった瞬間でした。 かつてのAIへの期待は、今やAIへの恐怖へと変貌しています。グローバルの編集会議でも、今週盛んに語られたトピックの一つが「AI Fears(AI脅威論)」でした。 先週、この週末版で「今週のことば」として、SaaSポカリプス(黙示録)を取り上げました。AIが既存のソフトウエア企業の仕事を根こそぎ奪い、業界を終末に導くという破壊的シナリオ。AIスタートアップの米アンソロピックが、高度な金融・法務リサーチを数秒でこなすツールを相次いで投入したことが引き金でした。 それから1週間。 AIがビジネスモデルを破壊するという懸念は、今やSaaSにとどまらず、物流から資産運用、不動産にまで波及しています。 米メキシコ国境付近でならぶトレイラー(2025年8月) Photographer: Carlos Moreno/Bloomberg AIによって中抜きされる恐怖。物流大手の株価を数時間で15%も吹き飛ばすその破壊力は、もはや無視できないものです。投資家は今、AIの勝ち組ではなく、AIに飲み込まれる負け組を必死に選別しようとしています。 これから長らく耳にすることになるかもしれないAI脅威論は、日本の物流株にも波及。13日の東京株式市場では、NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)やヤマトホールディングスが下落しました。 中国当局が国内銀行に対し、米国債の保有を15年ぶりの低水準まで絞り込むよう勧告したことが、ブルームバーグの取材で明らかになりました。 この米国債離れと連動するように、人民元は対ドルで2年余りぶりの高値を記録。ドル一辺倒だった資金の流れが、明確に分散(ダイバーシフィケーション:ポートフォリオのリスクを低くするため、多くの異なったマーケットでトレードをすること)へと向かっています。 過去10年にわたる中国の「米国債離れ」が改めて浮き彫りになっている Photographer: Qilai Shen/Bloomberg 一方で、ロシアがトランプ政権に対し「ドル決済システムへの復帰」を和平のカードとして提案するという驚きの内部文書も浮上しました。 孤立を深める米国の政策を背景に、世界のマネーは距離を見計らっています。歴史の転換点は、こうした静かな足音から始まっているのかもしれません。 2週間にわたるAI脅威論やSaaSポカリプスの火付け役となった米アンソロピック。同社のチャットボットClaudeの生みの親はなぜ、巨大なOpenAIやグーグルを凌駕する驚異の生産性を誇るのでしょうか。 テクノロジー担当のコラムニスト、パーミー・オルソンは、その鍵をAIの安全性を宗教的に守るという特異な企業文化に見出し、コラムで読み解きます。 アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)を中心に、利益よりも使命を優先するという軍隊のような組織。既存のビジネスを最も効率よく破壊しています。この先に生み出されるのは人間を助けるAIか、それともビジネスを置き換えるAIか。真価が問われています。 ◇ 国内では生命保険大手の不祥事が相次ぎ、営業現場の「顧客不在」があらわになりました。 一方、大手生保3社の国内債券含み損が12月末で約7兆8000億円に拡大。来週には日本生命や農林中央金庫の決算が控えていますが、債券の含み損がどこまで重しとなるのか。注視していきましょう。 どうぞ穏やかな週末をお過ごしください。 このたびブルームバーグでは、日本語版ニュースウェブサイトの刷新を記念し、2月26日16時より、ブルームバーグ 東京オフィスにて購読者様向けの特別イベントを開催します。 当日は、市場の動きから、経済、地政学、テクノロジーまで、ブルームバーグが日々取材・分析している幅広いニュース分野を取り上げます。第一線で取材にあたるジャーナリストや豪華ゲスト陣との質疑応答・対話を通して、ニュースの背景や専門的な分析に触れていただける機会です。ぜひご来場ください。ご登録はこちらから |
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